超スローブルース / マダムギター 長見順(2005 P-VINE)
Two Friends / Two Friends (1972 Natural Resources )
Chip CarpenterとBucky Wienerによるアコースティック・デュオの唯一のアルバム。
なぜかモータウン傘下のNatural Resourcesからリリースされてます。
基本的にはC,S & Nのフォロワーと言っていいのかな?
ドライヴ感がある「Must Be The Wrath」やスティーヴン・スティルスのマナサスのアルバムに入っていても不思議じゃないソウル風味の「Move With The Music」、「Now That It's Over」のクールな肌触りもグッド。
この手のアコースティック・グルーヴの曲に挟まれてますから、「Can't Find Home」のようなアコギの弾き語りの曲も生きてきます。
ジャケも素敵ですね。
Two Friends - Must Be The Wrath
クイーンズ・ギャンビット Queen's Gambit
松永良平さんのインスタで知った番組。
ネットフリックスのオリジナルのミニ・シリーズ。
児童養護育ちの女の子ベスが、チェスの世界で勝ち上がっていくという内容だが、主人公は勿論、他の登場人物も一人一人が味のあるキャラクターばかり。
ネタバレを避けて、ストーリー以外の部分に注目。
まずはファッション。
施設でのみすぼらしい制服。義母がセール会場で買った流行おくれの服。それが勝ち上がって、賞金収入を得るにつれ、ファッションがどんどん洗練されていく。
ラストシーンでのコート、帽子、パンツ、靴、すべて白でそろえた装いは、チェスの駒そのものであり、彼女の未来を表しているようだ。
続いて音楽の話題。
オリジナルのスコアが素晴らしいのは勿論、さまざまなシーンで挿入される選曲のセンスが見事だ。
まずはエピソード3.ベスも呼ばれたクラスメイトのパーティーのシーンで、TVから流れて、彼女以外が歌って盛り上がるのが、The Voguesの「You're The One」。
その姿をよそに、ベスは会場からそっと抜け出していく。クラスメイトの軽薄さを表すのにぴったりの軽快な曲。
Beth Harmon with the apple pi’s | The Queen’s Gambit
続いてエピソード5.
州大会で争った同年代のハリー(イケてない)が、ベスと同居してチェスの研鑽を積む。ベスには全くその気はないのだが、結果的にハリーは彼女の魅力にドキドキしてしまう。
そのシーンで流れてきたのが、ペギー・リーの「Fever」。オリジナルのLittle Willie Johnではなくて、女性ヴォーカルのカバーを使ったのがミソ。ベスの妖艶さと、その魅力に気づいてしまったハリーの「熱」を表すのに、この選曲はお見事。
The Queen's Gambit 1x05 Fever Peggy Lee #TheQueensGambit #Lareginadegliscacchi #AnyaTaylorJoy
エピソード5では、The Monkeysの「(I’m Not Your) Steppin’ Stone」が流れるシーンも良かった。
最後にエピソード6.大会のプレッシャーから、ベスはそれまで我慢していたアルコールにおぼれてしまう。そのシーンで流れてくるのは、Shocking Blueの「Venus」。
時代の雰囲気、退廃的なムードを表すの最適な選曲だ。
Beth's Downward Spiral - The Queen's Gambit - Full Scene | Netflix
エピソード6では、冒頭のドライブシーンでのStop Your Sobbing / The Kinks、早指しシーンでのYeh Yeh / Georgie Fame の選曲も見事。
David( Unreleased LP & More ) / David Ruffin ('71 Motown )
テンプテーションズの「My Girl」や「Ain't Too Priud To Beg」を歌っていたのがこのデヴィッド・ラフィン。ソウル界の百獣の王です。彼の魅力はハスキーなテナーによるシャウト。ダイナミックな歌い方はさすがモータウンNo.1と言われただけあります。
これは彼のソロ3作目として録音されていながらお蔵入りになっていたもの。内容はというと,「なんでお蔵入り?」と思えるほどの高水準。
ノーザンらしさ丸出しの「Each Day Is A Lifetime」に続くのは,なんと「I Want You Back」のカバー! こんな節くれ立ったごつい声で「帰ってほしいの」って歌うのもいいもんです。
「You Can Come Right Back To Me」,「Anything That You Ask For」,「For The Shelter Of Your Love」,「Dinah」など,ジョニー・ブリストルやスモーキー・ロビンソンらのメロディが光る曲は魅力がいっぱい。ボーナス入りの23曲です。
What A Beautiful Place / Catherine Howe ('71 Reflection)
イギリスの女性S.S.W、Catherine Howeの1stアルバム。
「Vashti Bunyan云々」という宣伝文句に惹かれて数年前に購入したもの。その後、‘75年の2nd、’76年の3rdも購入したのだが、こちらの方はまたいつの日か。
プロデュースしたのがジャズ畑のボビー・スコット。あの「Wild World」の激渋シンガー。イギリスとか、Vashti Bunyanとかいう先入観もあるせいか、彼女の声も切りの向こう側に見え隠れしているような淡い印象。
それにBobby Scottのアレンジが見事。ストリングスもヴィヴラフォンもフルートも、しっかりと彼女の歌を支えている。
Nick Drake好きにはおススメの一枚。
White Horse / White Horse ('77 Capitol)
丑年にちなんで牛のジャケットを探す。定番の『原子心母』は持ってないので、コレ。
フィフス・アヴェニュー・バンドのジョン・リンドとケニー・アルトマンがイギリスのS.S.W.のビリー・ニコルズ('67年の『Would You Believe』が有名)と組んだバンドの唯一のアルバム。
ケニー・アルトマンと言えばF.A.Bの名曲中の名曲「Eden Rock」、「One Way Or The Other」やE.W.& Fの「Feelin' Blue」を書いている人ですから期待が高まりますが・・・彼の作った2曲は凡庸なもの。バンドと言ってもどちらかというとビリー・ニコルズ色が強くて、F.A.Bファンにはちょっと欲求不満が残るといったところでしょう。
それでも、ジョン・リンド作の日だまりフォーク「Through Thick And Thin」、The Whoのロジャー・ダルトリーがカバーした「Without Your Love」など、なかなかいい曲もあります。
一番のお気に入りはジョンとケニーの共作「「Over And Done With」。F.A.Bっぽいというか、ジョンが歌っていることもあって、Howdy Moonのアルバムに入っていてもおかしくないような曲。
♪ Over And Done With - White Horse
Vocal Ease / B.J.Ward ('70 Catfish)
中古屋さんのサイトでは、3万円代後半〜5万円台の値段がつけられているこのアルバム。どういうわけか、うちのiTunesに音源があるのです。
このB.J.Ward、最近再発されたInner Dialogueのヴォーカルだった女性。このソロ・アルバムは、グループ解散後にオランダでのみ流通したアルバムだとのこと。曲そのものもいい曲が多いのですが、彼女のクールで寂しげなヴォーカルが、息をのむような美しさなのです。
「Earth Child - Moon Child」や「Here We Are」、「The Music Of Love」のような穏やかな曲では、彼女のヴォーカルがじんわりと浸透してくる。ジャジーな「That's How The World Is Made」のようなミディアムも素晴らしい。
カバー曲がいくつかありますが、この解釈がなかなか面白いもの。
Gerry Raffertyの「Keep It To Yourself」はグルーヴィーなドラムとオルガンに乗せて、彼女のクールなヴォーカルが流れていく(まさに流れていくといった印象)名曲。オリジナルよりも数段上の出来。
B.J. Ward - Keep It To Yourself
Gerry Rafferty R.I.P - Keep It To Yourself (2003 version)
Neil Youngの「The Loner」はギターの轟音の中でがなり立てるオリジナルとは似ても似つかぬような、わざと感情を表さずに淡々と歌うところが素敵。バックのストリングスとオルガンの響きもいいんだよね。
Brothers Fourの歌などで有名なスタンダードの「Try To Remember」は、囁くような歌声もいいし、ピアノの伴奏がとても素晴らしい。歌伴のピアノはかくあるべし、という演奏。ベースとドラムも加わった「Billy's Blues」や「Words On Words」でのピアノの音もリリカルでいいんだよなぁ。
「I Don't Know Where I'm Going」は、5th Dimensionをもっと都会的にさせたかのようなチャーミングな曲。ソフトロック好きなら小躍りするはず。
このアルバムがとんでもない高価になっている原因である目玉の曲は、ブライアン・ウィルソンの「I Just Wasn't Made For These Times」ですね。ビーチボーイズのオリジナルよりも絶対にいいと思うのは自分の耳が間違っているのでしょうか・・。
いずれにせよ、CD化を熱望します。
Act 1 / Act 1('74 Spring )
2021年の始まり。
今年初めに聴いたのはAct 1 というグループの『Act 1』(’74 Spring)。
このAct 1というグループ、テリー・ハフ(なまずひげのあの人)と組んでいたスペシャル・デリバリーの前身のようです。
スペシャル・デリバリーの唯一のアルバムは、ファルセットがむせび泣く超甘甘の世界が繰り広げられてましたけど、この盤については、ファンク色が強い「Party Hardy People」で始まっていたり、スライ風の「Tom The Peeper」なんていう曲もあって、バラエティに富んでます。
リードヴォーカルが複数いるようですが、リーバイ・スタッブス(フォー・トップス)をもっとジェントルにしたようなテナーの声がなかなかいいのです。
そういえば、曲調も’70年代のフォー・トップスのようなポップなメロディばかり。ちゃんと「Still Water」もカバーしているので、影響を受けているのは間違いないかな?
そんな曲の代表が「Love’s Got Your Mind」や「Goodbye Love(We’re Through)」、「It’s The Same Old Story」、「You Didn’t Love Me Anyhow」。
どれもランバート&ポッターが作るような、わかりやすいポップなメロディ。そのくせ、ちゃんと玄人筋の受けもいいような微妙な塩梅なのです。
ボーナス・トラックが3曲追加されていますが、「A Whole Lot of Love Makin’」という曲が、スピナーズの「I’ll Be Around」のような音作りでなかなか聴かせます。
あの子を探して('99 チャン・イーモウ監督)
BSで録画したまま、3年以上塩漬けにしてあった映画。
政治的には中道、リベラルのつもり。
映画上のこととはいえ、中国人の国民性を垣間見ることができる。
自分の給料増額のためだけに、生徒をおっぽいて街に出ていく代用教員の主人公。
そんな彼女が最後に涙を流すというあたりには違和感たっぷり。
こちらの感受性がおかしいのか?
で、調べてみて出会った記事を読んで納得。
わかり合えない中国人と日本人|映画で学ぶ異文化理解#2「あの子を探して」(チャン・イーモウ1999) (hofstede.jp)
Ella / Ella Fitzgerald ('69 Reprise )
エラ・フィッツジェラルドがソウルやポップス、ロックをカバーしたアルバム。
そのラインナップが面白い。
- Get Ready (Smokey Robinson)
- The Hunter Gets Captured By The Game (Smokey Robinson )
- Ooo Baby Baby (Smokey Robinson )
- Yellow Man (Randy Newman)
- I Wonder Why (Randy Newman )
- I'll Never Fall In Love Again (Burt Bacharach )
- Got To Get You Into My Life (Beatles)
- Savoy Truffle (Beatles)
- Open Your Window (Harry Nilsson)
- Knock On Wood (Eddie Floyd)
彼女の歌は勿論のこと、アレンジ、演奏のすべてが素晴らしい。
特に「Savoy Truffle」は原曲以上といっていい出来。
バリトン・サックスって、いいよなぁ。