Could It Be Magic / Anthony White

 今まで探してたんだけど、アナログは高価だし、CDは見あたらないしで、なかなか聴けなかった一枚。ギャンブル&ハフやデクスター・ワンゼル、ノーマン・ハリスらが絡んでいるフィリーの幻の名盤。声質はテディ・ペンダーグラスの男臭さやセクシーさを少しだけ薄めたような感じ。彼ほどの強烈な個性はないが、それでも十分にディープな歌声だ。フィリーの流麗なサウンドの中に埋没しないためには、これぐらいの塩辛声でないとね。
 1曲目の「Where Woud I Be Without You」から、弾むフィリー・ダンサーで自然と腰が動く。「Stop And Think It Over」も同様のタイプで、トランプスあたりを手がけたRon Kerseyのアレンジが冴えまくる。ノーマン・ハリスがアレンジした「Never Let You Get Away From Me」も魂を高揚させる名曲だ。やはり、自分はフィリー・ダンサーが好きだったのだと、再認識させてくれる3曲。
 とはいえ、スローももちろんいい。抑えながらも、熱い気持ちが隠しきれないような「I'm So Much In Love With You」はこのアルバムの中で一番の名唱だろう。値段はやや高かったが、買って損はしない一枚。