眺めのいい部屋('86)

ジェームズ・アイヴォリー監督作品。

舞台は、20世紀初頭。まだまだ封建的な思想が強かったころの物語。イギリスの良家に生まれた令嬢ルーシー(ヘレナ・ボナム・カーター)が、旅行先で訪れたフィレンツェで青年ジョージ(ジュリアン・サンズ)と出会う。2人の間に運命を感じたジョージは情熱的のままに彼女に口づける。しかし奔放な恋愛感情に縁遠い階級の中で育ったルーシーは、彼の想いを振り払うようにイギリスへ帰国し、やがて貴族的な青年セシル(ダニエル・デイ・ルイス)と婚約するのだが…。(「映画生活」より)

この手のイギリス上級社会を描いた映画はどうも苦手。階級の違いに悩む女性の心の動きを描いているのだが、現代の東洋人には、このストーリー自体は退屈に感じてしまった。ただし、撮影というか、光の当て方はとてもきれいなのは間違いない。最初のホテルの一室のシーンはフェルメールの絵のようというと、ちと大げさか。

冒頭のプッチーニのアリア「お父様お願い」(オペラ「ジャンニ・スキッキ」より 歌唱:キリ・テ・カナワ)が美しい。
この曲はもともと映画と同様にフィレンツェを舞台にしたオペラの中の一曲で、結婚を反対する父親に結婚を認めて欲しいと娘が訴える曲。 私と妻の結婚式に妻の友人の声楽家が歌った想い出の曲でした。