The Rose Of England / Nick Lowe & His Cowboy Outfit

howdymoon2009-09-27


 あるブログを見ていたら、この人のことが取りあげられていて、つい懐かしくなって聞いてます。昔のWEBサイトに書いたものから転載。  

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 今日は久々の英国音楽。その名も 『THE ROSE OF ENGLAND』 です。あれ? NICK はウェールズ出身じゃなかったっけ? そうそう。ウェールズだ。昔、ウェールズから来たALT(英語指導助手)のサラと、飲んでNICK の "I LOVE THE SOUND OF BREAKING GLASS" を一緒に唄ったもの。
 このNICK LOWE という人、'70年代前半にBRINSLEY SCHWARZ(名盤多し)、後半からはソロ活動と同時にプロデューサーとして活動(GRAHAM PARKER やELVIS COSTELLO を世に送る)。'80年代には DAVE EDMUNDS らと、ROCKPILE を結成して1枚のアルバム(これも名盤)を残す。'90年代には、JOHN HIATT,RY COODER,JIM KELTNER と LITTLE VILLAGE を結成。このあたりまでは私も追っていたのだが、LITTLE VILLAGE のアルバムが今ひとつだったこともあって、今や関心が無くなってしまった。それでも、彼が'70年代から'80年代にかけて残した数枚のアルバムは色あせていない。
 アルバム全体を通して感じるのは、アメリカ音楽への憧憬。なにせアルバム・ジャケットからして、'65年のSOLOMON BURKEのアルバム "THE BEST OF SOLOMON BURKE" にそっくり。肝心の音の方はというと、EVERLY BROTHERS風の②、BRIAN SETZER ORCHESTRA あたりにやってもらいたいロカビリーの③、DUAN EDDIE 風のトゥワンギン・ギターのインスト④、これぞパブ・ロックという感じの⑥、HUEY LEWIS & THE NEWS がバックを務めるロックンロールの⑦、これまたEVERLY BROTHERS風の⑩。続く⑪はマージー・ビートだ。どちらの曲も PAUL CARRACK とのコーラスが、音楽好きの琴線をくすぐる。
 NICKはROCKPILE 時代に相棒の DAVE EDMUNDS と一緒にEVERY BROTHERS の4曲("TAKE A MESSAGE TO MARY" "CRYING IN THE RAIN" "POOR JENNY" "WHEN WILL I BE LOVED?" )をカバーしたEPも出している。まるで、大瀧詠一山下達郎みたいに。これまた余談だが、彼らがラジオ番組でカバーしたEVERLY BROTHERS の音源をリリースしてくれないだろうか?
 このアルバムで何より輝いているのがタイトル曲の⑤と⑧。アメリカの音楽が大好きでアメリカ人になりたかったであろうNICK LOWEが唄う"THE ROSE OF ENGLAND"。軽やかでキャッチーなメロディに相反して、その歌詞に唄われる世界はもの悲しい。そしてCOSTELLO作の⑧。COSTELLOも "KING OF AMERICA" で採りあげているが、本盤のバージョンの方が切ない。気持ちがすれ違っている二人、もう一度やり直そうとする二人を、「室内での花火」という暗喩を用いて描く。さすがはCOSTELLOだ。ROBERT WYATTが唄った"SHIPBUILDING" もそうだったが、COSTELLOの鼻づまり声で唄うより、別の歌手が歌った方がより、心にしみてくる。'70年代〜'85年頃までのNICK LOWE は本当に輝いている。
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