学校が変わる知恵袋 / 井上志朗(2009 高陵社書店)

 先日の本荘小学校の学習活動参観時に、研究紀要がわりに配られたもの。「」でも井上校長先生の文は目にしているし、もともと井上校長先生のブログに書かれてきたものがもとになっているということだから、すでに読んだことがある内容がほとんどだったが、こうやってまとめて読んでみると、本荘小学校の変化の様子がはっきりとわかる。先日の学習活動にも、井上校長の学校経営や学習に対する考え方が、見事に具現化されていた。強烈なリーダーシップである。(おそらく)全教職員がそれについていけるのも、ムリやムダを省いた学校経営だからだろう。
どんな仕事にも共通するはずだが、今までのやり方を大きく変えようとすると、多少の抵抗がある(特にベテランと呼ばれる層から)。新しく変えた(増えた)分以上に、減った分が多いからこそ、その変化は教職員に歓迎されるのだろう。例えば、職員会議の時間を1回30分以内にする、会議の資料をA4用紙1枚以内にする、朝の登校時の玄関でのあいさつは担任をもっていない先生だけ、といった具合である。学校の組織も合理的で、企画部(担任以外の管理職やミドルリーダー)は学校経営に協同してあたり、学校行事を企画する(その分、授業の持ち時間が少ない)。運営部(担任)は学級経営に専念し、児童とのかかわりを多くもつ(その分、校務分掌が少ない)。改革や変化を導入する際のスクラップ&ビルドのお手本になるだろう。
 読み始めて1時間以内で読了。速く読めるということは、文章がこなれていて、学校の情景が目に浮かぶからである。こういう書き方ができるのは、井上校長が情報の発信をし続けてきたからだろう。