いつも2人で(’67)
オードリー・ヘップバーン主演+スタンリー・ドーネン監督+ヘンリー・マンシーニ音楽 となると悪いハズがない。オードリーがスタンリー・ドーネン監督と組んだ作品は「パリの恋人」(’57)、「シャレード」(’63)に次ぐ3作目になるが、この「いつも2人で」が最高の出来だ。それどころか、2010年に私が見た100本以上の映画の中でも群を抜いて素晴らしい。一度見た後に、もう一度6つの旅を時間軸を確かめながら見たくらいなのだ。
倦怠期を迎えて離婚の危機にある夫婦。夫は建築家。この夫婦の出会いの旅から、新しい出発(?)の旅の様子が描かれている。オードリーの相手役はアルバート・フィニー(役名はマーク)。彼女は当時、メル・ファーラーと実際に離婚の危機にあり、アルバート・フィニーと恋愛が噂されていたという。
この夫婦が都合6回の車の移動(旅)に出るのだが、たくみに映像を切り替えて、その6回の様子が入れ替わっていく。原題は“Two For The Road”。一風変わったロード・ムービーとも言えるが、この6回の旅はこんな具合。
- 2人が出会い、ヒッチハイクをしながら移動していく旅
- MGのTDに乗ってあてもなく旅をする新婚時代
- マークの元恋人とその夫+小生意気な娘と一緒な旅行
- マーク一人の出張(ゆきずりの浮気も)
- 娘が産まれて、3人でする家族旅行
- 建築家として成功したマークが自分の設計した家のパーティに招かれる旅
後の場面になるほど、オードリーの服装がだんだんゴージャスになっていったり、マークが運転する車が上級になっていったりする。最後の旅行なんて、エア・フェリーで車も飛行機に乗せての移動というお大尽ぶり。それと反比例するように2人の仲は冷えていく。2回目の旅の時に見かけた中年夫婦が一言の会話もなく、黙々と食事をしている姿を見て、「会話のないカップルは?」「夫婦」という会話をしているのに、5回目の旅の際には自分たちがそうなっている。6回目の車内では諍いばかり。そして映画のラストは・・・・。
この映画の見所は、過去と現在が行き来するカットバックを多用した巧みな構成なのだが、2人が乗る車やオードリーのファッションにこだわりを感じる。車の方は、MGのTDのコンバーチブル(ブリティッシュ・グリーン)、トライアンフのヘラルドのコンバーチブル(赤)、メルセデスの縦目のSL(白)というセンスのよいラインナップ。
オードリーのファッションも彼女の映画の中では一番好きだ。特に3回目の旅に着ているレモンイエローのスプリングコートやラストシーン近くの白い縁の大きめのサングラスなんて、彼女じゃないと似合わないだろうなって思う。数えてみたんだけど、2着の水着も含めて、39パターンの衣装を着こなしている。
この映画は結婚する前のカップルが見るべきだろうな。倦怠期を過ぎた夫婦も見てもいいかも。
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