Vontade De Rever Voce / Marcos Valle (1981)

howdymoon2005-11-23



マルコス・ヴァーリの'81年盤。
ブラジルのメロウ帝王マルコスとアメリカのメロウ大王レオン・ウェアががっぷり四つに組んだ意欲作。ジャケのマルコスも半笑いで余裕の表情だ。そのメロウ×メロウ=メロウの2乗ぶりが一番表れているのがラストの「Nao Pode Ser Qualquer Mulher」。この曲に関しては,リオン・ウェアに歌わされているようなとろけかた。歌詞もエロティックで,この中年2人に言い寄られたら女性はどうなっちゃうんだろう? って余計な心配をしちゃいます。残り2曲の「Bicho No Cio」は「恋人に求められて搾り取られて,でも,もっと君が欲しいんだ」ってな内容を淡々と歌う曲。「Velhos Surfistas Querendo Voar」は疾走感のあるバック・トラックにのって歌いきるマルコス。どちらの曲もクラヴィネットやローズ,シンセサイザーの使い方が上手だ。'80年代の欧米の音楽で聴かれるキーボードは,20年後の今聴くと古さを感じてしまうものが多い中,このアルバムで聞こえてくる音色は,仰々しさがない分だけ風化に耐えて生き残っている。


もう一つ,このアルバムの目玉はシカゴの参加(「A Paraiba Nao A Chicago」「Sei La」)。'81年のシカゴというとやや低迷していた時期(翌'82年に「Hard To Say I'm Sorry」が大ヒットする)。その時期の彼らのいかにもなAORサウンドが苦手なのだが,ここでは彼らのブラスが面白い効果を上げている。


全体としてかなりアメリカを意識したサウンドマルコス・ヴァーリの入門用としては向いてないようには思うけど・・・・。