Go Ahead / 山下達郎
ここ数年の山下達郎の作品にはまったく興味がないんだけど、このRCA時代のクオリティの高さには尊敬の念さえ抱いてしまう。彼の音楽は濃密すぎて、一枚を聴き通すと疲れてしまうくらいなんだけど、このアルバムの場合は緊張と弛緩がほどよい程度でバランスがとれている。前者の代表がA-1の「Love Celebration」やB-1の「Bomber」など。
特に「Bomber」のシャープでソリッドな演奏は、ハラハラドキドキの展開が魅力だ。
後者の代表が「Let's Dance Baby」、「Monday Blue」、「Paper Doll」。心地よいリズムに体を委ねていると、このまま終わらないで欲しいと思うほど。
ベストトラックはトッド・ラングレンの「Can We Stiil Be Friends」風の曲調が魅力の「潮騒」。アープとギターの響きも美しい名曲だ。
ただし、「This Could Be The Night」は曲の出来は別として、アルバムからは完全に浮いている。このアルバムが最後とあきらめていた達郎氏。この曲がやりたかったんだろうな。