ちょっとうれしかった話。
 今週の月曜日は卒業式でした。卒業式の後、卒業生を見送るために、玄関から校門まで在校生や職員が並んで送り出すのが恒例なのですが、並んでいると、見覚えのないお母様が駆け寄ってきて、お礼をおっしゃるのです。私が社会科を教えているKくんの母親でした。
 Kくんはもともと飛び抜けて学力が高かったわけではないのですが、県内でも指折りの進学校を目指していたのです。その彼の表情が変わってきたのに気づいたのが12月頃。絶対に合格するぞという意気込みが伝わってくるような表情で、授業を受けるようになっていたのです。
 ある日の授業の後、何げない気持ちで
「おまえのような顔つきの生徒は、最終的に逃げ切って合格する。何しろ実力が同じくらいだったら、受験前1ヶ月の勢いが大事だからな」
と言ったのです。その言葉は私の経験上、たしかに事実なのです。
 お母さんの言葉によると、受かるかどうかわからない不安の中で、私が何げなくつぶやいた言葉が大きな自信になったとのこと、私の言葉を追い風にがんばり続けた彼は見事に逃げ切って、合格を勝ち取ったとおっしゃるのです。
 言葉って大切だということをかみしめましたし、私の言葉が大切だと思ってもらえるような「私」にならなくては、と思った出来事でした。