質問力

 地元の大学で講義を聴く。講師は元文科相の初中局の局長。つまり、文部官僚の中でも最上級クラスを経験した人だ。
 講義の内容についてはおいといて、講義後の質疑応答に興味を惹かれた。数人が質問をしたのだが、揃いも揃って要領を得ないものばかり。講義の感想から始まって、自分の学校の現状を滔々と述べている。ようやく終わったかと思えばやっと質問。ここまで約3〜4分なのだ。一聴衆の自分はいいとして、質問に対して答える側の講師は大変だっただろう。最近読んだ齋藤孝氏の著書にこのような情景のことが触れられていたが、まさにその通りであった。
 帰宅してTVをつけると、ちょうどアクターズ・スタジオ・インタビューを放送している。今回のゲストはクリント・イーストウッド。進行&質問役のジェームズ・リプトン氏はいつものように見事な司会だし、御大クリントは時折ジョークも取り混ぜて、余裕綽々の返答ぶり。ここでも最後には、聴衆である学生の質疑応答が入るが、この質問が見事なのだ。ムダなことは一切入れずに、簡潔で明快な質問ばかり。まあ、TV編集があるのかも知れないが。 
 多くの人間が参加している会議や講義の1分は単なる1分ではない。200人が参加していれば、それは200分なのだということ。