富山県の山室中部小学校の公開授業に参加してきた。公開されている中身は

  1. 基礎学力の時間(15分間×2)
  2. ICT活用公開授業(12クラス)
  3. 全体会(パネルディスカッション)

 1については圧倒的な説得力。5年生の石黒先生の教室の様子を見ていたのだが、枕草子の「春はあけぼの」の文を文頭の2文字ずつだけ映して、一人ずつ1センテンスを暗唱している姿には驚かされた。これを毎日繰り返してくると、どの生徒にも効果的であろう。

 2については6年生の社会科の授業「戦争中の人々の生活」を参観。20代中頃と思われる若手の先生であったが、さすがは山室中部小。水準以上の授業であった。この授業では教師が撮影してきたお年寄り(現在74歳)のインタビューを見せて、戦争中の生活、特に当時の小学生の視線から見た生活について理解させる。そして、次時はこのお年寄りに実際に来ていただいて、直接にインタビューしてみる。このデジタルとアナログのバランスが見事である。
教科書の写真資料などで当時の人々の生活を想像させたり、読み取ったりする。そこに生の体験によるお年寄りの声で補完する。こうして生徒の「もっと知りたい」という意識を高めさせて、次時は直接にインタビューする。このようなていねいな手法をとることが児童・生徒の力を育てていくのだろう。
 ここの教室環境も参考になった。窓側に大きなアジア州の掛け地図を設置してあり、中国やフィリピンなどの国名が貼り付けられている。そして太平洋戦争の戦場の範囲が紙テープで示されている。これが常時教室に置かれていると、学習内容の定着が進むだろう。さっそく真似してみることにする。

 3についてはこの日、一番の収穫であった。堀田先生の見事な仕切り具合。短い言葉で必要なことをきちんと伝えていく力は卓抜したものがある。研究主任の石黒先生のお話は、この2年間で山室中部小のICT活用をどのように進めたのかがよくわかるお話しであった。壇上でのお話と基礎学力の時間の授業の様子から想像したものでしかないが、石黒先生の能力と人柄があったからこそ、40名近くの教員をまとめ上げることができたのだろう。高橋先生の話は今までに何回か聞いたもの。途中に2週間前の私の授業の様子が映されてビックリ。

 全体を通して考えたことが二つ。

  • やっぱり模擬授業だ

 うちの学校はICTをただ使っているというレベルはすでに超えた。次は授業力そのものを上げる時期であろう。そのためには山室中部小がやったように、模擬授業を取り入れる時期に来ているのではないか。ハードルは高いが、次年度には取り組む価値がある課題だ。

  • ICT活用は共通語である

 小学校は担任がほとんどすべての教科を教えるから、共通して話せることが多い。ところが中学校は「教科の壁」がある。「理科」の国、「数学」の国、「英語の国」・・・そこで話されているのは理科語であり、数学語である。他の国の人間にはなかなか理解できないし、口出しできないと思われてきた。
 そういう世界に「ICT」という共通語が登場したのだ。この共通語を使ってみると、高いと思っていた「教科の壁」が意外と低いことがわかってきたのである。壁を越えてチームとしての力を高められないかというのが今の関心事だ。