イン・ハー・シューズ(’05)

 「L.A.コンフィデンシャル」や「激流」のカーティス・ハンソンが監督した作品。
 キャメロン・ディアス主演。キャメロンは美人だが少々おつむの弱い妹役。男にはだらしないし、仕事も長続きしない役柄。キャメロン・ディアスはこういう役にはピッタリの雰囲気だ。トニ・コレットが演ずる姉はしっかり者の弁護士。姉の恋人を寝取ってしまったキャメロン、けんかをして居候していた姉の家を追い出される。真面目な姉にしてみれば、自由奔放(自堕落?)な妹が許せないのだ。最初は反発しあう二人。妹は盲目の元大学教授との触れあいで、姉は実直な同僚の愛によって変わっていく。読語障害を持つキャメロンが盲目の老人のために、ゆっくりとたどたどしく詩を読んで、「A+」の評価をもらうシーンが一番好きだ。
 ところで、タイトルの”in her shoes” とは、英語の慣用句で「相手の立場で(考える」という意味だそう。姉は姉の価値観で生きてきたし、妹は妹の価値観で生きてきたのだが、離れてみて相手の立場で考えてみると、やっぱりかけがえのない存在であるということに気づく。それに気づかせてくれたのは、存在さえ知らなかった母方の祖母。演ずるのはシャーリー・マクレーンだ。彼女が出ていると映画に安定感が生まれてくる。チャーミングな昔の彼女もいいけど、この映画や「マグノリアの花たち」、「潮風とベーコンサンドとヘミングウェイ」に登場する彼女はもっと魅力的だ。