赤狩りを題材にした映画 2本

「真実の瞬間」を見て、どうせならこれもと「マジェスティック」を続けて鑑賞する。HDDレコーダーには、まだまだ見ていない映画がたっぷりと残っている。
この2本、いずれも’50年代初頭、マッカーシズムが吹き荒れる赤狩りの時代を描いている。
「真実の瞬間」はアーウィン・ウィンクラー監督作品。ロバート・デ・ニーロ演ずる売れっ子の映画監督メリルが、共産主義者の疑いがかけられてハリウッドを追放される。大好きな仕事も家も失ったメリル。査問会でかつての仲間の名を挙げろと強要されるが・・・。
マジェスティック」は「グリーンマイル」や「ショーシャンクの空に」のフランク・ダラボン監督作品。ジム・キャリー演ずるアプルトンは共産主義者の疑いがかけられるが、事故にあって記憶を失う。流れ着いた街で、戦死したと思われていた若者ルークに間違えられてしまい、ルークの恋人アデルとの愛も育んでいく。彼は、元映画館主だった父親や街の人々に支援されて、廃館になっていた映画館“マジェスティック”を再開するが、やがて、そこにもFBIの手が・・・・。
 どちらの映画も赤狩りという、アメリカの汚点を糺すべく描いた画だが、そのタッチはずいぶん異なっている。「真実の瞬間」の視点はあくまでも厳しく、ハリウッド映画人が積年ためてきた感情を一気に吐き出したかのような印象だ。一方の「マジェスティック」はダラボンらしいというか、その視線は温かく、人間万歳のヒューマニズムに溢れている。まるでフランク・キャプラが描くシーンのようだ。実際に彼の監督作品「スミス都へ行く」でジェームス・スチュワートが堂々たる演説で観衆を感動させたように、この映画でも、最後は合衆国憲法を引き合いにして、ジム・キャリーが堂々の演説を行う。査問会の会場で演説を聴いた人々が拍手して送り出すくらいなのだ。
 話はかわって。赤狩りにあって仲間の映画人を売ったエリア・カザン監督(「波止場」「エデンの東」など)が、名誉回復がされて、’99年にアカデミー協会から特別賞を受けたのだが、その時のプレゼンターはロバート・デ・ニーロマーティン・スコセッシ(「真実の瞬間」にも俳優として出演している)だった。

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