All Summer Long / Beach Boys (’64)

 今月はわけあって、ビーチボーイズ三昧の毎日です。’62年のデビューアルバムから、’64年のクリスマス・アルバムまで、初期のビーチボーイズを浴びるように聴いているのです。ビーチボーイズの魅力に気がついたのは40歳過ぎてからという初心者の私。『Beach Boys Today』から『Surf’s Up』という彼らの黄金期のサウンドの魅力については理解しているつもりでしたが、初期については、あの有名曲の先入観もあって、はっきりいって舐めてました。
 ところが、ところが、「ブライアン、ごめんなさい」と脱帽です。当たり前のことですが、瑞々しい若々しさがまぶしいばかりです。
 今日は自分が産まれる3ヶ月前にリリースされた6作目のアルバム。『All Summer Long』です。後の傑作の萌芽を感じさせる名曲と、スケジュールに追われてポコポコ作っちゃったような曲が入り交じっているところが特徴と言えましょうか。バラードに名曲が多いのですが、とりわけ「Girls On The Beach」の魅力は、46年後の今も少しも曇っていません。ハーモニーに支えられて、ブライアンの声がファルセットに裏返る瞬間や転調する瞬間にドキドキします。同じようなバラードタイプの「We’ll Run Away」もしっとりとしたメロディが泣かせる名曲。彼らのコーラスの魅力をたっぷりと堪能できる「Wendy」や「Hushabye」も素敵です。もちろん、音楽好きのハートをひっかけるフックがいっぱい仕掛けられた「I Get Around」を外すわけにはいきませんね。
一番好きなのは、シロフォンのイントロが聞こえてきただけで、心がうきうきする「All Summer Long」。  
ティーンエイジャーだった30年前には、ビーチボーイズの魅力を少しもわかっていなかったのに、今頃になってわかるなんてね。なんだかもったいないな。

オール・サマー・ロング

オール・サマー・ロング