Fortune Smiled Again / Mantler ('11)

howdymoon2011-07-23


これもカナダのS.S.W.のアルバム。ただし、これまでの数枚のオリジナル・アルバムから集めた編集盤です。最近カナダのアーティストを取り上げることが多いですね。


購入したきっかけは「オトノマド」に「ロバート ワイアット ミーツ ドナルド フェイゲン!」なんて書いてあったからなのです。この謳い文句に抵抗できる音楽ファンていないでしょう? しかも江森丈晃氏のライナーには「僕らが40年前のNick Drakeや30年前のJudee Sillに夢中になるのと同じ気持ちで2040年や2050年の未来にて発掘/再評価されるべき、エレクトロニックSSW・イン・ブルーであり・・」なんていう文章もありますからね。


たしかに声質はロバート・ワイアットから禁欲的な部分を削ぎ落として、いくぶんかマイルドにしたようなもの。
そして、宅録のせいなのか、リズムボックスのせいなのか、音楽そのものは脂肪分を控えめにしたドナルド・フェイゲンのよう。
私が『Aja』『Gaucho』の頃のスティーリー・ダンの音楽に求めるのは、その豊潤さであり、一部の隙もない完璧さでありますが、このMantlerは多くのフォロワーとは違って、ゴージャス感のかけらもないローファイな音。そこがまた惹かれるのです。この時代にあえてチープな音色のリズムボックスを使用していることもあって、まるで一人多重録音の祖Shuggie Otisのようでもあるし。

「Stronger Than Action Allows」


「I.S.B.I.T.T.」「Togethernest」なんて、ウーリッツアーの音色も気持ちよくて、まさに40年後のShuggie Otisのような曲調。「Fresh And Fair」など、メロウなソウル色も強い曲もあったりして、いろんな角度から楽しめちゃうアルバムなのです。
「Fresh And Fair」

Fortune Smiled Again

Fortune Smiled Again