Darkness, Darkness / Phil Upchurch (1971)

howdymoon2005-11-18



Donny Hathaway『Live』でのプレイが印象に残るギタリスト。ベーシストとしても多くのアルバムに参加している。もともとシカゴのChessレコードでDellsやGene Chandler,Howlin' WolfやMuddy Watersらのセッションワークをしていたというから,ブルーズもソウルもお手の物。それだけでなく,ジャズもロックもファンクも,すべて消化して彼の力強い音になっているようだ。


David T. Walkerのような華麗さとはひと味違うアタックの強い奏法。Chuck RainyとHarvey Masonのボトムの重いリズム隊に支えられて,ゴリゴリと突進していくようなプレイスタイルだ。


気になる内容だが,カバー曲が8曲。Youngbloodsの「Darkness, Darkness」,J.Taylorの「Fire And Rain」は軽めの仕上がり。「Please Send Me Someone To Love」(Percy Mayfield)やトラディショナルの「Sweet Chariot」は熱いブルーズに仕上がっている。JBの「Cold Sweat」は原曲のエッセンスは残しておいて,独自のファンクに仕上げている。ここでのC.RainyのベースとH.Masonのドラムのコンビネーションは聴きもの。

オリジナルも悪くない。「Sausalito Blues」は珍しく柔らかいトーンで弾いているジャジーなナンバー。「What We Call The Blues」はワウワウを効かせたギターが耳に残る重いブルーズ。この2曲にはDonny Hathawayも参加している。この2曲のオーケストレーションは紛れもなく彼の手によるものだ。何回か繰り返して聞いていたら,結局はこのオリジナルの方が気にいってきた。