Extreme Beauty / 吉田美奈子

howdymoon2005-12-24



世間はクリスマスイヴ。クリスチャンの娘と妻は教会のミサに出かけております。
私にとって、クリスマスの曲となると、このアルバムの中の「Liberty」


全曲打ち込みを中心にしているんだけど,違和感は全くない。あくまでも主役は美奈子の声。そのあたりが凡百の歌手とは違うところ。土台が美しいわけだから,どんな化粧を施してもきれいなんだな。しかも,20年以上クオリティを落とさずに音楽を創り続けてきた経験に裏打ちされているから,化粧の下に隠されている表情は”気高さ”さえも感じさせる。とはいっても,”繊細さ”ではない。もっと骨太な強さ。


一曲目の「Voices」。何かのインタビューで,彼女は自分の声について 「私の声は天使から悪魔までカバーしている」という発言があったが,力でねじ伏せられてしまうような圧倒的な存在感。そして名曲「Liberty」。盟友の山下達郎らによるコーラスに包まれた荘厳なゴスペル。高みに登り続けていくような素晴らしい曲だ。的確なピアノも素晴らしい演奏。続く「エンジェルダスト」では,前曲の雰囲気をぶちこわすようなラウドなギターとリズムで始まる。まるでファンカデリックだ。「Liberty」もボク,「エンジェルダスト」もボクなんだよ,って美奈子がほくそ笑むのが見えるようだ。⑦の「シナリオ」。これは歌われている歌詞をイメージしながら,真っ暗な部屋の中で聴きたいソウル。ラストは彼女の友人でもあった故ペーター佐藤に捧げられた「星の海」。彼女の”天使”の部分の声が,絞り出されるようにはき出てくる鎮魂歌でアルバムは閉じる。


大音量で聴きたい盤。クリスマス・イヴにはぴったりかも?