さすらい記 / ハンバート ハンバート(’10)

howdymoon2010-11-22

 このアルバムだけでなくて『シングルコレクション2002-2008』や『合奏』も同時購入しましたから、この2週間はハンバート漬けで、彼らの音楽を浴びるように聴いております。
 レコード会社を移籍しての最新作。フルアルバムとしては7作目。今回もとても良質な音楽を届けてくれています。アルバムは『合奏』にも収録されていた「待ちあわせ」の別バージョンからスタートしますが、この曲は小田急のCMとのタイアップということ。私は関東在住ではありませんから、このCMは見たことがありませんが、映像が見えてきそうなストーリー性がある歌詞。しかも聴く人によって、さまざまな解釈ができそうな含みのあるものになっています。
この曲だけに限らず、彼らの音楽は映像が見えてきそうなものが多いのです。母が作ってくれたお弁当をひとりで食べる「おべんとう」、引っ越しのために荷物を整理していくうちに、かつてともに住んでいた恋人との思い出が蘇っていく「引っ越しの準備」。長く、薄くなっていく影の描写が素晴らしい「妙なる調べ」など。
いつものように彼らならではのトラッドやアイリッシュの影響が濃い曲も。フィドラーズ・ビッドとの共演を収めた「妙なる調べ」や「邂逅」も、彼らの独自性を際だたせています。日本の童謡のような歌詞にマンドリンホーメイが彩りをつける「百八つ」は、実に深い曲。深いとしか言いようがないくらい深いのです。軽妙な「罪の味」、CM曲をアレンジし直した「アセロラ体操のうた」も、いいアクセントになっています。
どのアルバムもそうなのですが、このハンバートの音楽は長く、長く聴き続けられそうなものになりそうです。

さすらい記(初回限定盤)(DVD付)

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