元気になる会議 / ちょんせいこ(’10)

 2010年は会議に関する本を何冊か読んだのだが、それらに共通するのが、参加度を高めるための仕掛けをどう組み立てるのかということ。この本では、ホワイトボード・ミーティングという手法を紹介している。簡単に言えば、話し合いの中味を可視化することによって、議論を構造化することができたり、対策や役割分担までもはっきりと決めていったりするやり方だ。また、誰の発言かという帰属を薄めることによって、参加者が発言しやすくするとう技、オープン・クエスチョンで意見を発散させるファシリテーターの役割など、学ぶことが多い。私も先週の講座で実際に体験したのだが、学年の不登校気味の生徒への対策を、わずか20分で構造化できた。1対1の対話とはいえ、わずか20分である。この手法は少人数の学年会議やケース会議で活用できそうである。
 学校や企業、NPOなど、さまざまな組織で応用可能な手法だが、驚くことに埼玉の岩瀬直樹先生の学級(小学校4年生!)では、子どもたちがホワイトボード・ミーティングの手法で、自分たちのもめ事を自分たちで解決しているのだという。
 中学校3年の学年主任を務めていたこの1年、子どもたちに身につけさせたい能力は自己教育力だということを、常々感じていた。中学校までは、トラブルに陥っても親や教師がケアしたり、指導したりして、立ち直るきっかけを与えやすい。この自己教育力を身につけておけば、大人になって困難にぶつかっても、自分でその原因を振り返って乗り越えていけるだろう。トラブルを振り返って、前向きになれないままあきらめてしまうのである。
 ちょんせいこさんの著書や講座になぜ惹かれるのかという理由は、次のような考えが根底にあるからだ。少し長いが引用する。

 心の体力は、他者との関係で温まったり、冷めたりします。
 心の体力が温かいと、私たちは自分らしく生きやすいです。
 めざす目標が苦難の道だとしても、「やってみよう」と挑戦しやすい。むずかしければ、素直に「助けてほしい」と周囲の力を借りることもできるし、またチャレンジしようと思いやすい。とても生きてゆきやすいです。
 逆に心の体力が冷めていると、自分らしく生きることなんてあきらめてしまいます。「どうせ無理」と決め込んで、自分の力を出さない。どこかしらけて、斜に構えてしまう。

 温かい教室、温かい関係を結べるような仕掛けや雰囲気をつくることが、教師の役割だと考えています。

元気になる会議-ホワイトボード・ミーティングのすすめ方

元気になる会議-ホワイトボード・ミーティングのすすめ方