Love You / Beach Boys (’77)

 
 ‘77年のビーチボーイズ。その頃のぼくは中1で、ビーチボーイズと言えば、夏になると決まってラジオから流れてくる「Surfin’ U.S.A」であって、まさか現役で活動しているグループなんて思ってもみなかった頃。ちなみに、リアルタイムで聴いたのは、ヘンテコな日本語で歌われている「思い出のスマハマ」なのだ。
 前置きはこれくらいにして、このアルバム、久々にブライアン・ウィルソンが全曲を書き下ろしたのだという。全編にわたって鳴り響くシンセは、正直ちょっと使いすぎ? と思うところもあるんだけど、何回か聴いていると、これもまた暖かみを感じるようになってくるから不思議。特にB面。
 「Solar System」はゆったりとしたワルツの愛すべき小品。この曲にはシンセベースもいいものだ。「The Night Was So Young」はブライアンらしい繊細なメロディを全盛期の頃のようなコーラスが支えていて、とってもやわらかな雰囲気の曲。所々に突然入ってくる“トゥルトゥトゥル”というコーラスもいいアクセントにっている。あっけないくらいに終わっちゃうので、もう1分ほど長かったらもっと良いのにと思うけど。
 「I’ll Bet He’s Nice」はきれいなメロディの後ろに、シンセベースがブワブワ鳴ってて、さらにシンセがプニョ鳴ってるというねじくれ具合がブライアンらしい曲。後半でカールの張りのあるソロが聞こえてくると、ピリッと締まる。
 「Let’s Put Our Hearts Together」はこのアルバムで最も好きな曲。昔の透明な声は戻ってないんだけど、ブライアンの妻のマリリンのヴォーカルがそこを補ってくれている。歌詞は恥ずかしいくらいにストレートなラヴ・ソング。
 「I Wanna Pick You Up」はデニスが歌う朗らかな曲。こういう何でもない小品の曲の良さがこのアルバムを特別なものにしてくれているようだ。
 ゆったりとした曲が続くB面は、この頃の特別なプレゼントだったのかもしれないなぁ。

ラヴ・ユー(紙ジャケット仕様)

ラヴ・ユー(紙ジャケット仕様)