M.I.U.Album / Beach Boys ('78)

 ‘70年代後半という低迷していた時期のアルバム。
iPodのシャッフルで音楽を聴くことが多くなって以来、アルバムのトータル性という視点がなくなってしまい、単純にイイ曲が多いかどうかということが判断の基準になりつつある。その点から言えば、このアルバムはまあ可もなく不可もなくといったところかな?
 メロディそのものはけっこういいのに、ヴォーカルに張りがなかったり(Mike Loveがリードの曲が)、コーラスもかつてのような輝きがなかったり、楽器の音もなんだかモコモコと聞こえてきたりと、なんだか雑なつくりのような感触があるんだけど、これ、私の思い違いなんだろうか?
 「My Diane」とか「Sweet Sunday Kind Of Love」、「Wontcha Come Out Tonight」あたりは、けっこう明るい素敵なメロディなんだけどね。惜しいなぁ。King Harvestの2人から提供された「Wings Of Change」も壮麗なストリングスが奢られた良質なバラードだし。なんか、何かが足りないんだよなぁ。その何かって、簡単に言えば、やる気とか意気込みとかいう具体性のないもののような気がするんだけど、違うのかなぁ。
 カバー曲が2曲(『15 Big Ones』のセッションからの転用だとか)。バディ・ホリーの「Peggy Sue」は水準以下の出来。お遊びのデモみたいなものと断言してしまいます。その一方で、「Come Go With Me」は、彼らのルーツでもあるホワイト・ドゥー・ワップ・スタイルの曲で、3年後の’81年にヒットしたのも納得の出来。
このアルバムの中で一番好きなのは「Matchpoint Of Our Love」。他の曲と同様に、ブライアンの声は伸びやツヤがないけど、このゆったりとしたメロディには、それさえも必然であるようにさえ思います。ブライアンの「Hey Little Tomboy」も、温かな雰囲気のシンプルな曲で気に入ってます。

M.I.Uアルバム

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