Home Of The Brave / Chris Rainbow ('75)
あの山下達郎氏がかつて、サンソンの中で
「イギリス人で友達になれそうなのは、○○(失念)とケニー・ゴールド(Denne & Goldの)とクリス・レインボウだ」
と言っていたのを今でも覚えています。長い間、クリス・レインボウの音源を聞いたことがなかったのですが、最近になって彼の3枚のアルバムを聴く機会を得ました。
まずは1stの『Home Of The Brave』。
1枚聞き通しての第一印象は、期待にたがわぬ素晴らしいポップアルバム。ビーチボーイズの影響云々と紹介されていますが、ブライアン・ウィルソンの影響を感じられる曲もあれば、ポール・マッカートニー直系のメロディを感じられるところも随所にあって、音楽が(異常なくらいに)好きな人間のツボを心得ている玄人好みのアルバムのように思えます。しかも、2曲目の「Funky Parrot」あたりを聞いて、「どこかスティーヴィー・ワンダー的な要素も感じるなぁ」と思っていたら、なんと、このアルバムはマルコム・セシルとロバート・マーゴレフがプロデュースしていたのでした。この2人は’70年代前半のスティーヴィー・ワンダーの全盛期に(『Music Of My Mind』〜『Fulfillingness' First Finale』あたりまで)、プロデュースやシンセの音づくりでスティーヴィーに貢献したチーム。彼らの特徴であるムーグやアープといったアナログ・シンセの音色が、タイトル曲の「Home Of The Brave」のバックに華を添えています。
クリス・レインボウの話に戻って。彼のヴォーカルはどこまでも繊細でやさしげ。バックのコーラスも一人多重録音なのだとか。なるほど達郎氏も友達になりたがるわけだ・・。
1曲目の爽やかなポップス(A.O.R.寄り)の「Tarzana Reseda」やビーチボーイズばりのドリーミーなハーモニーを聞かせてくれる美メロのワルツ「On My Way」はポップス好きの心をわしづかみする名曲。ポール・マッカートニー発エリック・スチュワート(10CCの)経由クリス・レインボウ行きみたいな「Glasgow Boy」や「Is Summer Really Over」もいい曲です。それから「Mr.Man」や「In Memory」も10CCっぽさ、つまりメロディそのものはとてもきれいなのに、ちょっとねじくれたポップ・センスが色濃く出ている曲ですね。
2ndの『Looking Over My Shoulder』,3rdの『White Trails』はまだ聴いていません。この1stよりも評判が良いのですから、今から楽しみにしています。
- アーティスト: クリス・レインボウ
- 出版社/メーカー: ユニバーサル インターナショナル
- 発売日: 2007/06/27
- メディア: CD
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