World Record / CERO ('11)

howdymoon2011-04-20


本秀康の素敵なイラスト、鈴木慶一『火の玉ボーイ』を思わせる色調。音を聴く前から期待は膨らんでいきます。


もともと松永さんからいただいたCD-Rで
「21世紀の日照りの都に雨が降る」
を先に聴いて、とても気に入っていたグループ。この曲のコーラスから垣間見えたのは鈴木慶一「酔いどれダンス・ミュージック」の要素。その頃は知らなかったのですが、インディーズ時代に慶一さんがプロデュースして、ミニアルバムを出しているんですね。道理で。

随所に聞こえてくるスティール・パンの音は、細野晴臣を思わせます。そういえば、ムーンライダース「いとこ同士」で聞こえてくるスティール・パンは細野さんがたたいてたんだっけ。1曲目の「World Record」でのラップからは、かせきさいだぁ三に近いものを感じますし。


彼らのインタビューを読んでみると、マリア・マルダーが好きだとか、ミレニウム『Begin』ハーパース・ビザール『Secret Life Of Harpers Bizarre』に影響を受けているとか。それから、もちろんティンパンアレイやはっぴいえんどシュガーベイブからの影響もあることでしょう。

これだけだと、オールド・タイミーで、過去の作品を焼き直したかのようなイメージが湧いちゃうと思うけど、それだけに終わらせずに、Hip Hopやオルタナなどの要素を加えて、現代風にアップデートしているところが、彼らが只者ではないところ。なにしろ、Contemporary Exotica Rock Orchestra ですから。


やっぱりベストトラックは「21世紀の日照りの都に雨が降る」でしょう。エンディングの後に「入曽」のイントロが食い気味に入ってくるところもグー。その後のHosono Houseサニーデイ直系の「あののか」と続く全半の流れはもう素晴らしいもの。


でも一番好きなのは、「iPodから さっきから ジェームス・チャンスばっかが流れてきて・・・」という歌詞が登場する「Exotic Penguin Night」。ジェームズ・チャンスばりの黒くなり過ぎないファンクネスが最高にクール。ラストに流れる「小旅行」のエキゾチックな響きは、本日発売される「HoSoNoVa」のプレリュードみたいに感じました。


2011年の年間ベスト10間違いなしの名盤なのでは?
最近、このCERO星野源はもちろんのこと、SAKEROCK二階堂和美など、カクバリズムの音楽が自分の中にすんなりと入ってきます。

WORLD RECORD

WORLD RECORD

HoSoNoVa

HoSoNoVa