World Record / CERO ('11)
本秀康の素敵なイラスト、鈴木慶一の『火の玉ボーイ』を思わせる色調。音を聴く前から期待は膨らんでいきます。
もともと松永さんからいただいたCD-Rで
「21世紀の日照りの都に雨が降る」を先に聴いて、とても気に入っていたグループ。この曲のコーラスから垣間見えたのは鈴木慶一の「酔いどれダンス・ミュージック」の要素。その頃は知らなかったのですが、インディーズ時代に慶一さんがプロデュースして、ミニアルバムを出しているんですね。道理で。
随所に聞こえてくるスティール・パンの音は、細野晴臣を思わせます。そういえば、ムーンライダースの「いとこ同士」で聞こえてくるスティール・パンは細野さんがたたいてたんだっけ。1曲目の「World Record」でのラップからは、かせきさいだぁ三に近いものを感じますし。
彼らのインタビューを読んでみると、マリア・マルダーが好きだとか、ミレニウムの『Begin』やハーパース・ビザールの『Secret Life Of Harpers Bizarre』に影響を受けているとか。それから、もちろんティンパンアレイやはっぴいえんど、シュガーベイブからの影響もあることでしょう。
これだけだと、オールド・タイミーで、過去の作品を焼き直したかのようなイメージが湧いちゃうと思うけど、それだけに終わらせずに、Hip Hopやオルタナなどの要素を加えて、現代風にアップデートしているところが、彼らが只者ではないところ。なにしろ、Contemporary Exotica Rock Orchestra ですから。
やっぱりベストトラックは「21世紀の日照りの都に雨が降る」でしょう。エンディングの後に「入曽」のイントロが食い気味に入ってくるところもグー。その後の『Hosono House』やサニーデイ直系の「あののか」と続く全半の流れはもう素晴らしいもの。
でも一番好きなのは、「iPodから さっきから ジェームス・チャンスばっかが流れてきて・・・」という歌詞が登場する「Exotic Penguin Night」。ジェームズ・チャンスばりの黒くなり過ぎないファンクネスが最高にクール。ラストに流れる「小旅行」のエキゾチックな響きは、本日発売される「HoSoNoVa」のプレリュードみたいに感じました。
2011年の年間ベスト10間違いなしの名盤なのでは?
最近、このCEROや星野源はもちろんのこと、SAKEROCK、二階堂和美など、カクバリズムの音楽が自分の中にすんなりと入ってきます。
- アーティスト: cero
- 出版社/メーカー: カクバリズム
- 発売日: 2011/01/26
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