ただいま / 細野晴臣

howdymoon2011-04-30


名古屋に住んでいる息子のところに行ってきた。
いつものように義父(家内の父)を連れて。義母の方は持病の心臓の具合があまり良くなくて、家で留守番。


妻は一人娘。それゆえ、妻の年老いた両親は二人だけで暮らしている。2か月に一度、義父を名古屋の息子の所に連れて行くのは、一人娘を連れ去ってしまったことの、せめてもの罪滅ぼしのつもりだ。

ヤマハやカワイといった音楽教室に属せずに、独立してピアノ講師をしている妻は、自宅と実家の2か所でピアノを教えている。週に2,3回は里帰りしているので、それほど寂しくはないのだろうとたかをくくっていたのだが、やはり娘と孫は別なのだろう。1か月会わないだけでも、息子の顔を見たくなるのだという。義父母にしてみれば、娘しか育てたことがないため、男の子は格別にかわいいのだろう。


約束の8時半に迎えに行く。義母はいつものように食べきれないほどの食事を作って持たせてくれた。たぶん、早朝4時頃から作っていたのだろう。義父はたてつけが悪くなっている息子のタンスを直すのだと、道具一式と、いつものように掃除機を積み込む。義父は息子の部屋を掃除するのが楽しみなのだ。


とりとめのない話をしながら、2時間ほどで到着。到着後しばらくして、息子はモスバーガーのアルバイトに出かけてしまう。残された二人は、部屋やトイレ、風呂と、隅々まで掃除。掃除が終わると、塾の講師のアルバイトも始めた息子のために、スーツ用の白いシャツを3枚買ってきてしまう親バカな私。米がなくなりかけてることに気づき、米だけでなく洗剤、歯磨き粉など生活用品も山ほど買ってきてしまう、バカ親な私。


アルバイト先から戻ってきた息子としばらく話す。近所の中学校のバスケット部を週に3回指導していること。顧問の教師はいるにはいるのだけど、バスケは素人で練習にはほとんど顔を見せないこと。昨日は練習試合で初めて采配をふるったこと、月に2万円ほどもらえるのだとのこと。塾で英語を教えているけど、高校生に文法を教えるのは難しいので、毎回予習が必要なのだとのこと。大学を卒業したら、ワーキングホリデイとして海外に留学したいのだとのこと。iPad2のWi-Fi仕様を買いたいとのこと・・・。


そんな話をしていたら、帰る時間が迫る。義父はこの別れる時がたまらなくツラいのだと言う。
帰りの車の中はいつも無言だ。米原JCTを過ぎて北陸自動車道に入る頃には、いつものように義父は眠りについていた。その姿を見計らって、片耳だけにイヤフォンをねじ込んで『HoSoNoVa』を聴いた。


星野源が作詞して細野さんが作曲した「ただいま」は、出稼ぎに出ていた父が故郷に戻ってくる歌だが、私と義父は息子のもとから離れていくバージョンだ。タイヤのノイズや風切音が大きくて、実はあまり聴き取れない。だけど、無音の中で帰るのは嫌なのだ。

HoSoNoVa

HoSoNoVa