Joia / Caetano Veloso('75)

howdymoon2011-05-09


 3年生の公民の授業で情報化社会のことを教えた時のこと。
最近はamazonなどでネットショッピングをしたことがある生徒が増えてはきたが、まだ半数以上は未経験。そこで、ネット・ショッピングの光と影を教えるために、スクリーンにamazonの画面を投影して、実際に商品を購入しながら、その便利な点と気を付けることを教えている。で、買ったのがこの商品。長いことウィッシュ・リストに入れたままのものを救い出しました。

 
 そうか、このアルバムは傑作『Qualquer Coisa』と同時に発売されたのか。となると、深読みしたくなるもの。『Qualquer Coisa』の方は、「Lady Madonna「For No One」など、ビートルズのカバーが3曲も収められていて、わかりやすい、親しみやすいアルバム。それに対して、この『Joia』はわかりやすさを削ぎ落として、最少限の楽器だけが施された、静かで穏やかな音が収められたアルバムとでも言えばいいか。

 ムジカ・ロコモンド誌の(村)さんの評をそのまま引用すると、

白いミニマリズムのさざ波のような波動の間から、小鳥が、天使が、やるせなさが、脱力感が、日々の最小限の営みが、忘れたはずの怨恨や郷愁が、その感触すらも記憶にない恋人が、太古の光景が、サンバが、ゆるやかに飛び立ってゆく。

 というわかったようでいて、けっこう意味不明の文章。
 でも、たしかに小鳥や脱力感は飛び立っているような気がする。

 1曲目の「Minha Mulher」。ジルベルト・ジルとカエターノの2本のアコギが静かに絡み合い、はるか上空にカエターノの歌声が漂う。息をのむような美しさ。やっぱり歌う世界遺産だ。
続く「Gua」は歌詞はほとんどなく、カリンバとコンガとQuarteto em Cyのコーラスが一体となって浮遊している。その心地よさに身を任せる。

 この2曲から、続く「Pelos Olhos」「Asa」Lua, Lua, Lua, Luaまでの流れがとにかく美しい。

 童謡のようなプリミティヴな美しさが輝く「Cato Do Provo De Um Lugar」か、クラゲのように浮遊するLua,Lua,Lua,Luaの揺らぎが一番気に入っている。

 そうそう、畠山美由紀さんがこのアルバムを絶賛していたとのこと。

Joia

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