Sanctuary / Dion ('71)

howdymoon2011-06-19


'72年の『Suite For Late Summer』との2 in 1 が Ace からリリースされたものを入手。

ディオンと言えば、ディオン&ザ・ベルモンツとして、'50年代後半に「浮気なスー」「ワンダラー」などのホワイト・ドゥー・ワップのヒットで有名ですが、このアルバムにはそんな面影は全くありません。本当に良質なS.S.W.アルバム。1939年生まれということは、このアルバムの頃は32歳。ベルモンツの頃はまだ20歳前後だったのですから、音楽的に変化して当たり前ですね。


冒頭の「Sunshine Lady」はアコギの低音弦が刻むゆったりとしたシャッフルのリズムに乗って歌われるストレートなラヴ・ソング。その気負いもない愛の歌はジャケットで肩を寄せ合う奥さんに捧げているのでしょうか? その奥様が控えめながらあたたかいハーモニーをつけるのが4曲目の「Harmony Sound」。これもゆったりとしたフォーキー・ワルツ。その歌詞は「大変な時もあったけど、君のおかげだ、君のためだけにこの歌を歌うんだ」という、これまたストレートなラヴ・ソング。「Sanctuary」「Willigo」もいい。

「Sunshine Lady」

「Sactuary」


アルバムの後半にはNYのビターエンドでのライヴも収録されています。かつてのヒット曲「The Wander」をブルージーにセルフカバーしたもの、ドナルド・フェイゲンの『The Nightfly』でもおなじみのDriftersのRuby Baby」のカバーも飛び出して、彼自身が昔取った杵柄で、とても乗っているのがわかる演奏。そしてこのライヴのハイライトは、ディオンの'68年のヒット「Abraham, Martin And John」。ギターとピアノだけの演奏ですが、歌詞の内容も相まって、力強い名演になっています。

アルバムのラストは、彼自身の決意の表れのような「The Brand New Morning」で終わります。これも名曲。


2 in 1 の『Suite For Late Summer』の方も素晴らしい内容です。このアルバムについては、文字通り夏の終わりにでも、書いてみることにします。

SANCTUARY/SUITE FOR LATE SUMMER

SANCTUARY/SUITE FOR LATE SUMMER