Vocal Ease / B.J.Ward ('70 Catfish)

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中古屋さんのサイトでは、3万円代後半〜5万円台の値段がつけられているこのアルバム。どういうわけか、うちのiTunesに音源があるのです。

 このB.J.Ward、最近再発されたInner Dialogueのヴォーカルだった女性。このソロ・アルバムは、グループ解散後にオランダでのみ流通したアルバムだとのこと。曲そのものもいい曲が多いのですが、彼女のクールで寂しげなヴォーカルが、息をのむような美しさなのです。

「Earth Child - Moon Child」や「Here We Are」、「The Music Of Love」のような穏やかな曲では、彼女のヴォーカルがじんわりと浸透してくる。ジャジーな「That's How The World Is Made」のようなミディアムも素晴らしい。


カバー曲がいくつかありますが、この解釈がなかなか面白いもの。
Gerry Raffertyの「Keep It To Yourself」はグルーヴィーなドラムとオルガンに乗せて、彼女のクールなヴォーカルが流れていく(まさに流れていくといった印象)名曲。オリジナルよりも数段上の出来。


B.J. Ward - Keep It To Yourself


Gerry Rafferty R.I.P - Keep It To Yourself (2003 version)

 

Neil Youngの「The Loner」はギターの轟音の中でがなり立てるオリジナルとは似ても似つかぬような、わざと感情を表さずに淡々と歌うところが素敵。バックのストリングスとオルガンの響きもいいんだよね。
Brothers Fourの歌などで有名なスタンダードの「Try To Remember」は、囁くような歌声もいいし、ピアノの伴奏がとても素晴らしい。歌伴のピアノはかくあるべし、という演奏。ベースとドラムも加わった「Billy's Blues」や「Words On Words」でのピアノの音もリリカルでいいんだよなぁ。

「I Don't Know Where I'm Going」は、5th Dimensionをもっと都会的にさせたかのようなチャーミングな曲。ソフトロック好きなら小躍りするはず。


このアルバムがとんでもない高価になっている原因である目玉の曲は、ブライアン・ウィルソンの「I Just Wasn't Made For These Times」ですね。ビーチボーイズのオリジナルよりも絶対にいいと思うのは自分の耳が間違っているのでしょうか・・。

いずれにせよ、CD化を熱望します。


I Just Wasn't Made For These Times - B.J. Ward