Superstar / Carpenters

howdymoon2011-03-19


レコードコレクターズ誌を定期購読するようになって、もう20数年。最近はパラパラとめくる程度でほとんど読んでいません。
ところが、ここの文章を見て、
イーグルス特集号とロンバケ特集号に渡る
寒梅賢氏の「洋楽マン列伝」をじっくりと読んだのです。


寒梅さんはキング・レコードに勤めている当時、
カーペンタースの担当ディレクターだった方。
もともとはディープ・ソウルのファンなのですが、仕事としてカーペンターズを売らなくちゃいけなかったとのこと。
そこから後は、先ほどのサイトを読んでいただくことにして。


sugarmountainさんが書かれているように、
'70年代、カーペンターズを聴くって、なんかかっこ悪いことだったのです。
特に男子にとっては。
小学生の頃はFMでエアチェックした
カーペンターズのカセットをよく聴いていましたが、
中学生になったくらいからは、あんなの女子どもが聴くもんだ、
と鼻で笑っているイタいやつでした。
自分も子どものくせに。今で言う中2病というやつですね。


これが’80年代後半あたりから、彼らのことを再評価したのです。
当時、職場の同僚とカラオケに行った時のこと。
私よりも10歳ほど上の女性の英語教師が、「Superstar」を歌ったんです。
15年ぶりくらいに聴いたレオン・ラッセルの書いたメロディ。
いつのまにかもう一本のマイクを持って歌っていましたね。


当時、バカラックの再評価やロジャニコのブームなどもあって、
カーペンターズも再評価されだしたんですよね。
いや、もともと人気のあったグループですから
評価はされていたんですが、
いわゆるコアな音楽ファンも手のひらを返すように評価し出したというか。
恥ずかしながら自分もその一人。


レオン・ラッセルとボニー・ブラムレットが共作したこの曲。
女性(グルーピー?)が、かつてつきあっていたロックスターの曲を
ラジオで聴いて,戻ってきて欲しいと恋い焦がれている内容の歌。
ある意味、下世話な歌詞なのですが、
カレンの完璧な唱法で聴くと、それもまた切なくなるもの。
彼女のアルト・ヴォイスは正確な音程、クリアな発音ということもあって、まさに教科書的なヴォーカルですね。


カーペンターズの曲の中で好きな10曲を挙げると、
先ほどの「Superstar」
同じくレオン・ラッセル作の「This Masquerade」
ロジャニコの「We’ve Only Just Begun」

同じくロジャニコの「I Kept On Loving You」
バカラック作の「Rainy Days And Mondays」
同じく「Close To You」
ニール・セダカ作の「Solitaire」
ジャッキー・デ・シャノン作のBoat To Sail」
クリスマス・アルバムの中のSleigh Ride
ニール・ヤング作の「Nowadays Clancy Can't Even Sing」


特に「Close To You」についてはこんな名シーンが。
映画「バックマン家の人々」('89年 ロン・ハワード監督)の中で、
バックマン家の次女が夫ともめて家を出た後、
その夫が次女の職場(学校)に謝り来て、突然「Close To You」を歌い出すシーンです。
制止を無視して歌い続ける夫を見ながら、
妻は生徒たちに「結婚式に歌った歌なの」と教えるのです。
夫役のリック・モラニスの歌は下手なのですが、
なぜか心を打つのです。この映画の中のハイライト・シーンでした。